資産運用で投資成果を高めるための、運用のプロセスにはいくつかの手法があると考えられます。資産運用の投資成果に影響を与える要素を、資産配分、投資タイミング、および銘柄選択の3つに分解して考えます。
投資成果を高めるための運用の3つのプロセス
(出典)著者が作成
資産配分(asset allocation policy)、投資タイミング(active asset allocation)、銘柄選択(security selection)の影響を考えます。
G.ブリンソン教授(注)は、投資成果はどの資産クラスにどの程度の割合で資産配分するのかという決定で決まると説明しています。
(注)Brinson、Singer、Beebower、 FINANCIAL ANALYSTS JOURNAL/MAY-JUNE 1991「Determinants Of Portfolio Performance」
「ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因」の論文の要旨は、投資成果の90%程度は資産配分で決まるという研究内容です。
資産配分の方針が、91の大規模年金制度のサンプルで、リターンのパフォーマンスに圧倒的な貢献をしていることを明らかにしました。
「実際の投資成果のうち、資産配分、資産配分と投資タイミング、 資産配分と銘柄選択によって説明される割合に注目します。平均して、資産配分による投資成果の割合は91.5%を占めていました。
投資タイミングと銘柄選択を合わせても、実際の投資成果のごく一部を占めるに過ぎません。資産配分と投資タイミングによる投資成果の合計は93.3%でした。資産配分と銘柄選択の投資成果の合計は約96.1%でした。資産配分による投資成果の優位性は明らかです」としています。
結論として「積極的な投資判断である、銘柄選択と投資タイミングの両面で、パフォーマンスはほとんど改善されなかった。銘柄選択と投資タイミングの両面で、運用会社による積極的な投資決定がパフォーマンスを改善することはほとんどなかった。個々の結果には大きなばらつきがあるが、一般に、パフォーマンスと運用会社との間に正の説明関係を見出すことは困難であった」という研究内容を報告しています。
(出典)「Determinants Of Portfolio Performance」 より括弧内は著者が翻訳して作成
資産運用では、株式等のリスク資産にどれだけ配分するかという資産配分の選択の方が、投資成果にとって重要だといっています。
株式等のリスク資産をポートフォリオの中で、どの程度の割合で保有するかという資産配分が重要な選択肢と考えられます。
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