株式市場では、高い不確実性が実感できます。経済活動にはサイクルがあり、景気循環を通じて経済全体の規模が縮小する過程では、企業の新陳代謝は避けられません。
リスクと上手につきあうとは
当面使う予定のないお金を使って投資するとしても、リスクはできる限り抑えるべきです。リスクを軽減する方法の一つに、投資対象を分散することが考えられます。
(事例1)1つのカゴにすべての卵をもったケース
【投資対象が1つの場合】
(事例2)複数のカゴに卵をもったケース
【 複数の投資対象に分けた場合】
(出典)日本証券業協会「資産運用と証券投資スタートブック(2023年版)」25頁「万一の損失を最小限に抑えるために、投資先を「分散」させる」から一部加工して著者作成
投資先を1つに集中させるのではなく、複数の投資対象に分散することで、リスクを抑えて損失の可能性を最小限に抑えます。
投資の世界の合い言葉に「ひとつのカゴにすべての卵をもるな」という分散投資の格言があります。この例えは、投資の世界の合い言葉として知られているもので、カゴは投資対象のことを表し、卵は投資資金のことを表しています。
事例1のように、すべての卵を一つのカゴにもると、そのカゴを落としてしまった場合、そのカゴにあるすべての卵を失う可能性があります。
事例2は、複数のカゴに分散した場合です。一つのカゴを落とし、そのカゴの中の卵を失った場合でも、他のカゴの卵は影響を受けません。
仮に、損失を被るような状況が出現したとしても、損失を被る可能性は最小限に抑えようという考え方です。大きな失敗を回避して、挽回できないような失敗をしないことに重きをおいています。
値動きが異なる資産に、分散して投資を行う意味はなにか
(出典)金融庁ホームページ 資産形成の基本 分散投資より一部加工して
1つの資産だけに投資するのではなく、値動きが異なる複数の資産に分散します。値動きが異なる複数の資産に分散して投資することで、比較すると価格の変動を抑えられるのでリスクは軽減します。
リターンはより安定化しますので、投資対象を分散しない場合に比べ、安定的な運用を目指すことができます。
投資対象となる資産、および株式等の銘柄には様々なものがあります。それぞれの資産、および銘柄は同じ値動きをするわけではありません。一般的に株式が値上がりするときには、債券が値下がりする傾向にあります。株式と債券とでは、経済の動向等に応じて異なる値動きをすることが多いと考えられます。資産および銘柄の間での値動きの違いに着目して、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせるのが分散投資の手法です。
この手法を取り入れることで、特定の資産や銘柄が値下がりした場合には、他の資産や銘柄の値上がりでカバーします。保有する資産および銘柄の間で生じる、価格変動のリスクを軽減することができます。
投資リスクを低下させる、銘柄の組み合わせとは
分散投資の考え方で、資産の分散の際に重要な要素は、異なる値動きをする資産、および銘柄を組み合わせることです。お互いに違う値動きの要素を持った、銘柄を組み合わせて投資することで、分散投資の効果が高まります。
例えば、株式投資で日本の乗用車メーカーの上場7社の株式に、分散投資した場合を想定します。分散はできていますが、同じ業界の同じ商品を扱っている会社であれば、株価の値動きの要素も共通するものが多いと想像できます。複数の銘柄が同じような値動きをするのであれば、投資の対象を分散した効果が薄れてしまいます。
企業収益に影響を与える要素が異なる銘柄同士を、組み合わせて投資することで分散する効果がより大きく発揮されます。
例えば、国内製造業関連の輸出企業とは、為替変動などに関する異なるリスクとリターンの特性を持った
●電気・ガス・製紙・食品といった原材料の多くを輸入に頼る内需型企業
●不動産・建設・電鉄などの内需型企業
●開発輸入された製品を国内販売する企業
などに投資する場合は、銘柄を分散する効果が高まると考えられます。
このような考え方に基づいて、投資の対象となる銘柄の分散を考えて参ります。
分散投資により、投資リスクを低下させる資産や銘柄の組み合わせを実現することになります。自らのポートフォリオを、安全性や収益性を考えた有利な投資の組み合わせにすることができます。
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