景気循環とは
景気は好景気と不景気を交互に繰り返し、これを景気循環と呼んでいます。景気循環とは、景気が良い時は「山」、景気が悪い時は「谷」といった波のようなうねりのことをいいます。景気循環には、後退→不況→回復→好況という4つの局面が繰り返し現れると考えられています。景気循環は、企業活動や私たちの生活に影響を与える経済活動の水準である景気が、一定の要因で循環的に表れる変動です。モノやサービス全体の価格である物価が、上昇するあるいは下落することで、需要が減るまたは増えるという変化によるものです。
景気循環を通じて経済が成長する

(出典)フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』景気循環
景気循環を通じて、経済が成長しています。経済活動は長期的にゆるやかな上昇トレンドの中で、上下変動を繰り返しています。景気循環を通じて、経済全体の規模が縮小する過程では、企業と産業の新陳代謝は避けられません。景気が後退→不況そして景気の谷へ向かう過程では、生産性の比較的低い企業は市場からの退出を余儀なくされます。
後退→不況から景気の谷を脱して回復→好況になると、生産性の高い企業が、成長性の高い分野に参入してくる傾向があります。生産性の高い新しい企業が、成長性の高い分野へ参入することを通じて、市場全体の生産性が高まります。
生産性の高い企業の参入による、産業全体の生産性の向上を背景に、回復→好況を経て次の景気の山は切り上がる傾向にあります。
長期的な趨勢として、企業の技術水準は着実に進歩し、企業価値拡大の源泉となる生産性が向上しています。例えば、教育で人的資産が増加すると、費やした労力に比べてより順調に、生産がはかどるようになります。人的資産が世代ごとに向上し、長期的に技術進歩が続きます。従業員の持つスキルが高まると企業としての技術進歩も早くなり、導入された新技術への適応も早くなることで生産性が高まります。
企業の成長の源泉は、設備の性能が上がったり、仕事のやり方が改善したりするなどして、生産性が上がる技術進歩と考えられます。個別企業の技術革新あるいは生産性の向上を基に、経済全体の生産性が向上し、経済成長が継続します。
先進国の平均的景気循環の周期
(出典)内閣府「景気循環の特徴とその変化」より著者が作成
先進国では平均的に拡張期5年および後退期1年という6年程度の周期の景気循環が発生しています。好景気や不景気が繰り返し現れる景気循環を通じて生産性の低い企業と産業の新陳代謝が進みます。生産性の高い企業が、成長性の高い分野に参入することにより、長期的に経済は成長します。技術革新の伸展、市場全体の生産性の向上を背景に経済が成長しています。
景気循環の過程で選別されたスタートアップ企業の中から、次代をけん引するハイテク企業が生まれるきっかけになる可能性があります。景気循環にあらわれる好況または不況のサイクルが繰り返される中で、長期的に右肩上がりに経済の成長が継続しています。
資産形成を目的とした投資では、20年~30年以上という長期投資が求められます。そこで、資産形成を目的とした投資では、景気循環のいくつかの波を乗り越えて継続する長期投資が必要です。
長期投資では、株式等のリスク資産に投資する配分比率が、投資成果に大きな影響を与えています。自らのライフサイクルの段階で、目的に適う金融資産を用いて、ポートフォリオを構築することが、重要な選択肢となります。
Comments