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新NISA、インデックス・ファンドのメリットをどう活用するのか?

  • 執筆者の写真: 山木戸啓治
    山木戸啓治
  • 2024年10月21日
  • 読了時間: 6分

主な株式指数

市場全体を反映した広範囲を網羅する株式指数は、市場の平均リターンを示す存在と考えられます。
主な株式指数

(出典)MSCI World Index(USD) Factsheet2024年4月より著者が作成 (https://www.msci.com/documents/10199/178e6643-6ae6-47b9-82be-e1fc565ededb)


パッシブ投資と呼ばれるアプローチとは

1990年米経済学者ウィリアム・シャープとハリー・マーコウィッツは「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」によりノーベル経済学賞を受賞しました。

 米経済学者ウィリアム・シャープの1991年の論文には、時代が変わっても、不変の鉄則とみなす2つの点が明示されています。

 1つ目には、平均的なアクティブ運用と平均的なパッシブ運用の経費控除前のリターンは同じになる。

 2つ目には、経費控除後だと、平均的なアクティブ運用のリターンが平均的なパッシブ運用のリターンを下回る。

米経済学者ハリー・マーコウィッツは、「株式市場を網羅した、広範囲に及ぶ受動的なポートフォリオを通じて実現できる分散化が、投資家にとって苦労せずに手に入る利得を享受できる唯一の方法」と主張しています。つまり単純に市場平均指数を構成する数百銘柄を組み込み、入れ替えは一切行わないファンドを設定することを呼びかけました。その趣旨に基づき、株式市場全体の縮図のような銘柄群を継続保有するパッシブ運用型の投資信託の組成を勧めました。選択した銘柄あるいは市場全体の将来のパフォーマンスについて主観的な予想を立てずに運用する投資信託を意味しています。

1992年には、純粋に市場平均と同等のパフォーマンスを目的とした投資信託が、新しく生み出されました。これが市場全体を反映した、広範囲を網羅する分散投資型のインデックス・ファンドです。一般の投資家が年金基金のように、低いコストと高めのパフォーマンスの恩恵を享受することができるとしています。より低コストの投資信託を通じて、誰もが直接的あるいは間接的にその恩恵を受けることができるようになりました。

インデックス・ファンドの費用は、伝統的なファンドの費用よりはるかに低くなっています。銘柄選択や変更に伴う運用コストをなくせば、全体のコストが安くなります。それゆえ平均的な運用手数料のかかるアクティブ運用のパフォーマンスを取引コスト控除後で、上回ることができるとしています。このようにしてインデックス・ファンドのリターンは、平均的なアクティブ・ファンドのリターンを上回ることになります。

世界三大投資家として知られるウォーレン・バフェット氏は「サッカーにたとえるならば、コストの高いアクティブ運用のファンドを選ぶのは、毎回、相手チームに先制ゴールを取られた状態から試合をはじめるようなものである。しかも、逆転するためには2ゴールをあげなければならないが、そうした技能を持つ選手を常に見極める方法はないと思われる。投資家は低コストのインデックス・ファンドに絞って投資すべきです」と主張します。

インデックス・ファンドは、基本的に科学知識の産物で、人的要素を排除したことが主な成功要因の1つと考えられます。運用会社はインデックス・ファンドの登場により透明性、利便性が高く、低価格でのサービスを提供できることになりました。

 

ランダム・ウォーク理論とは

株価はその企業が将来、株主に支払う配当の期待値の現在価値と同じであると考えられます。将来の配当金は本質的に不透明です。そのため株価は不規則に変動するので、正確かつ継続的に予測することは事実上、不可能というのがランダム・ウォーク理論です。

 

株式市場は効率的なのか

運用の専門家、アナリスト、投資家が競合する市場では、知られている関連情報は、既に株価に反映されていると考えられます。新しい情報も公表と同時にほぼ即座に、株価に織り込まれると考えられます。何千人もの運用の専門家や投資家が、それぞれ他社を出し抜こうと試み続ける結果、株式市場は効率的になると考えられています。それゆえ既に公表されている情報を基に、他の投資家をアウトパフォームすることが、現実的に難しくなっているとされています。各々の株式銘柄のリスクとリターンのバランスが、最適な状態にあるのが現時点での市場だと考えられています。

市場全体を反映した広範囲を網羅する株式指数は、市場の平均リターンを示す存在と考えられます。そうした株式指数をアウトパフォームする投資家がいれば、それと同じだけの市場をアンダーパフォームする投資家がいるはずです。

従って投資家は特別なことをせずに、市場全体を買うべきだということになります。効率的市場の論理は、分散投資のメリット、低コストの重要性について説明するものです。

 

市場全体を反映した広範囲を網羅する分散投資のメリットとは

「現在の世界全体の上場企業の数は、約4万1000社に過ぎない。その内実際に株式の売買が可能な企業は、3000~4000社程度であろう」(出典)TRILLIONSインデックス・ファンド革命2024年2月

投資家は投資対象のリターンだけでなく、リスクも気にかけます。投資先を分散化することにより、リスクは低下すると考えられます。個別銘柄の価値がある程度独立して変動する限り、その他の個別の要素がどうであれ、全体のリスクは低下すると考えられます。それ故に、各株式の値動きを気にするのではなく、ポートフォリオ全体のパフォーマンスを注視することになります。

長期的に高い投資効果を上げるために、大型で分散化されたインデックス・ファンドをできる限り保有し続けるのが重要となります。一般の投資家は銘柄選択を考えるよりも、総合的なインデックス・ファンドを選択する、手間のかからない投資方法を選択できます。

 

株式指数の選択とは

株式指数の提供会社であるMSCI、FTSEラッセル、S&Pダウジョーンズインデックスの3社が支配的立場を築いています。3社の合計の市場シェアは約70%に達しています。

株価指数の構成銘柄にも、ベンチマークを創設する会社のアクティブな選択が反映されています。インデックス・ファンドの投資判断は、実質的にベンチマークを創設する会社に委ねられています。株式指数がインデックス・ファンドの成長によって、市場に影響を及ぼす一大要因へと変貌しています。株価指数は尺度として設計されたものですが、それがある時から投資対象となっています。

 

ETF(上場投資信託)について

ETFは日銀の金融政策「量的・質的金融緩和」でも注目されました。個別株価を左右しないように、日銀はETFを購入したと言われています。

取引所で上場投資信託の売買が可能になったことにより、投資家はより柔軟に資産を運用できるようになりました。ETFによりインデックス・ファンドそのものを、一般の株式のように取引所で終日売買できるようになりました。簡単に最適なポートフォリオを選択すること、素早く投資を実行に移すことができる方法として、ETFが受け入れられています。

 


 
 
 

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