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新NISAで、分配金を支払わない投資信託の活用とは?

執筆者の写真: 山木戸啓治山木戸啓治

投資信託で分配金が支払われるイメージ

投資信託の分配金は決算を迎えるまでは、ファンドの資産と一緒に運用されています。決算日に運用資産の一部を切り出す形で分配金が、支払われるため決算の直後は資産価値が減り基準価額も低下します。
投資信託の分配金のイメージ

 投資信託の分配金は決算を迎えるまでは、ファンドの資産と一緒に運用されています。決算日に運用資産の一部を切り出す形で分配金が、支払われるため決算の直後は資産価値が減り基準価額も低下します。

 不特定多数の投資家から、幅広く資金を集めて運用を行う投資信託には、最低でも年1回の決算が義務付けられています。決算期末にそれぞれの投資信託の分配方針に基づいて、支払われるのが分配金ということになります。 

 投資信託説明書(交付目論見書)の「ファンドの特色」の覧を確認することで、分配の方針を把握することができます。分配金額は基準価額水準等を勘案して、投資信託の運用会社が決定します。運用会社の判断により分配を行なわない場合もあります。収益分配金の原資となる資金を翌期以降に繰り越すことも認められています。


分配金を支払わない投資信託とは

長期に資産を積み上げて資産形成する場合は、分配金を支払わないタイプの投資信託を選択することをお勧めします。分配金を支払わない投資信託の運用はとてもシンプルです。決算のたびに分配しないので、運用の成果はそのまま資産の積み上げにつながります。解約又は売却するまで分配金を支払わずに再投資する投資信託は、その分だけ運用資産が増えるので複利的な効果が期待できます。

 分配金を支払う投資信託でも、分配金を再び運用に回す「再投資コース」を選べるものがあります。新NISAで資産形成を継続する場合に、分配金を支払う投資信託でも、支払われた分配金を再投資すれば同じことのように見えます。

 NISA口座で分配金を再投資する場合は、新規に行われた投資部分とみなされる点に注意が必要です。NISA口座では非課税投資枠の範囲内のみでしか、非課税での再投資が出来ません。非課税投資枠に余裕があれば、分配金をそのままNISA口座で再投資に回すこともできます。

 しかし、年間投資枠あるいは非課税保有限度額を、既に使い切っている場合は、非課税投資枠を使っての再投資ができません。分配金を支払わない投資信託なら、分配金を支払う場合に比べて基準価額の時価は増加しています。分配金相当部分を含めて、NISA口座で継続して運用されてまいります。投資対象からの配当益も非課税で再投資して、基準価額の上昇への複利効果が期待できます。そのため、NISAの非課税投資枠を最大限に活用する運用を行うためには、そもそも分配金を支払わない投資信託を選ぶべきです。

 新たに非課税投資枠を使うことなく、分配金を支払わずに運用資産に留保して、再投資し続けることができる点が重要になります。非課税投資枠を減らさずに再投資ができることになりますので、将来にわたりより有利な運用が継続できます。年間投資枠あるいは非課税保有限度額を既に使い切っている場合でも、非課税投資枠を使わずに再投資し続けることができます。 

 

分配金再投資基準価額とは

投資信託の基準価額のチャートには、分配金再投資基準価額と基準価額の2つが一般的に記載されています。 分配金再投資基準価額(注)は、課税前の収益分配金を決算時に投資信託へ、再投資したものとみなして修正した基準価額をいいます。
運用実績

(出典)一般社団法人 投資信託協会 まるわかり運用報告書より著者が作成https://www.toushin.or.jp/fileadmin/open/kouhou/file/guidebook/kakushu_guide/

 投資信託の基準価額のチャートには、分配金再投資基準価額と基準価額の2つが一般的に記載されています。分配金再投資基準価額(注)は、課税前の収益分配金決算時に投資信託へ、再投資したものとみなして修正した基準価額をいいます。

(注)分配金再投資基準価額=基準価額+設定来の課税前分配金の累計額を示しています。

実際は支払われてファンドから流出した分配金を、収益分配による純資産の減少で、基準価額の下落がなかったと仮定するものです。分配方針が異なるファンドの運用成績を比較しやすくするために、投資信託の累積リターンを計算したものです。分配金は運用成果に含まれますので、分配金再投資基準価額で投資信託のパフォーマンスを判断することが一般的です。そもそも分配金を支払わない投資信託では、分配金再投資基準価額と基準価額に差はありません。

 新NISAでの長期の積立投資では、分配金を支払わない投資信託を活用して資産形成することが最適と考えられます。


分配方針を無分配としない理由とは

 新NISAの投資対象として選択する投資信託は、追加型に分類されます。制度上、仕組みとして収益分配金を分配しないという方針の追加型の投資信託を、組成することはできないようです。そのため、投資信託説明書の「分配の方針」に無分配ですとか、分配しませんとは記載していません。

 実際に設定来、分配金を支払っていない投資信託の配当方針について投資信託説明書から調べました。

 一例として「分配金の決定にあたっては、信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する方針とします」という記載です。このように「無分配とします」とは、明確に記載されていませんので注意が必要です。

 長期の積立で資産形成する受益者にとって、分配を避け続けてくれる投資信託が、より良い運用であることは間違いありません。


 
 
 

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