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FRBが金融政策で重視する、非農業部門就業者数とは?

執筆者の写真: 山木戸啓治山木戸啓治

非農業部門就業者の前月からの増加数

米国のFRB(連邦準備制度理事会)が、金融政策を決める上で重視する経済統計の1つは、非農業部門就業者の前月からの増加数です。景気動向を敏感に反映しやすい農業関連以外の産業で働く人の数や増減をまとめたデータです。非農業部門の就業者は、米国の労働者の約80%を占めています。   米国雇用統計の非農業部門就業者の前月からの増加数は、15~20万人程度の増加数が経済環境の好調の目安とされています。就業者数が前月から15万人以上増加していれば、豊かさをあらわGDP(国内総生産)の成長に問題のない水準といわれています。20万人以上増加していれば、GDPを押し上げる要因になるとされています。

(出典)U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS米国労働統計局


米国労働省の雇用統計「非農業部門就業者数」

 米国のFRB(連邦準備制度理事会)が、金融政策を決める上で重視する経済統計の1つは、非農業部門就業者の前月からの増加数です。景気動向を敏感に反映しやすい農業関連以外の産業で働く人の数や増減をまとめたデータです。非農業部門の就業者は、米国の労働者の約80%を占めています。

 米国雇用統計の非農業部門就業者の前月からの増加数は、15~20万人程度の増加数が経済環境の好調の目安とされています。就業者数が前月から15万人以上増加していれば、豊かさをあらわGDP(国内総生産)の成長に問題のない水準といわれています。20万人以上増加していれば、GDPを押し上げる要因になるとされています。

 非農業部門就業者数はストライキの影響もカウントする統計ですので、ストライキの影響で一時的に就業者数が減少することがあります。2024年9月から始まった米航空機大手ボーイング社のストライキの影響がありました。

 今後は雇用増の勢いは弱まりつつあると予想されています。雇用増を下支えしているのはレジャー関連や医療・教育といったサービスの分野です。モノからサービスにシフトした個人消費の動きが求人件数の動向にも反映されています。雇用の減速がいつサービス分野にも波及し、それがどれほど深刻になるかが今後のポイントになります。

 米労働省は2024年8月21日、2024年3月までの雇用統計について年次改定の推定値を公表しました。3月時点の1年間の雇用者数は81万8000人程度の下方修正になる可能性が高いとされています。米労働市場ではすでに減速感が色濃くなっていますが、実態はさらに冷え込んでいることを映しています。雇用統計の公表値をみる限りにおいては、2024年3月までの1年間、月平均で24万2000人増えていました。今回の推計では、これが17万4000人程度の水準だったことを示しています。雇用の勢いは2021年~2022年と比較すると減速傾向にあります。

 米国の労働省が公表した雇用統計では、2024年12月の非農業部門就業者は前月から32.3万人増加、2025年1月の増加数は12.5万人、2025年2月の増加数は15.1万人となっています。


民間部門就業者の平均時給の前年同月比の伸び率

米雇用統計における平均時給とは、農業部門以外の主要産業における、1時間当たりの平均賃金とその増減をまとめたものです。平均時給をチェックすれば人件費の推移がわかるため、景気を判断する際に役立ちます。一般的に平均時給が上がれば、個人消費の拡大につながりやすいと考えられます。 グラフは景気に影響を与えると考えられる、民間部門就業者の平均時給の前年同月比の伸び率の推移です。民間部門就業者の平均時給の前年同月比の伸び率は、2022年平均約5.4%、2023年平均約4.5%、2024年平均約4.0%の増加でした。賃上げ圧力が和らいでいます。

 (出典)Average Hourly Earnings of All Employees, Total Private, Percent Change from Year Ago, Monthly, Seasonally Adjusted

 米雇用統計における平均時給とは、農業部門以外の主要産業における、1時間当たりの平均賃金とその増減をまとめたものです。平均時給をチェックすれば人件費の推移がわかるため、景気を判断する際に役立ちます。一般的に平均時給が上がれば、個人消費の拡大につながりやすいと考えられます。

グラフは景気に影響を与えると考えられる、民間部門就業者の平均時給の前年同月比の伸び率の推移です。民間部門就業者の平均時給の前年同月比の伸び率は、2022年平均約5.4%、2023年平均約4.5%、2024年平均約4.0%の増加でした。賃上げ圧力が和らいでいます。過去3カ月の平均時給の前年同月比は、12月に+4.0、2025年1月に+3.9%、2月には+4.0%で推移しています。


移民が支えた米国経済の軟着陸シナリオ

 米国に居住しているが、出生時に米国市民でなかった労働力人口

移民を示す「米国に居住しているが、出生時に米国市民でなかった労働力人口」は、コロナパンデミック前の2019年12月の2,723万人から、2025年1月の3,177万人まで約454万人増加しました。米労働省によると移民による労働力人口は、2024年2月単月で約116万人増加し、2007年以降で最大となりました。移民による働き手の増加が止まれば、賃金インフレの抑制に逆風となると考えられます。少子化が進む米国にとって移民は本来、人口増を維持するために不可欠な存在となっています。

(出典)FRED ECONOMIC DATA Employment Level - Foreign Born

 米国経済の軟着陸シナリオに沿った動きを支えた要因の1つが移民の労働力です。賃金インフレが加速しなかったのは、海外からの働き手が窮迫状態を緩和してくれたことによるものと考えられます。継続的な移民の流入を前提とすれば、雇用者数の伸びが大きくなることが想定されます。職探しをする人が増えているので、企業は賃金を抑えて従業員を確保できることになります。民間部門就業者の平均時給の伸びが鈍化してる傾向は、海外からの移民の増加が要因と考えられます。

 移民を示す「米国に居住しているが、出生時に米国市民でなかった労働力人口」は、コロナパンデミック前の2019年12月の2,723万人から、2025年1月の3,177万人まで約454万人増加しました。米労働省によると移民による労働力人口は、2024年2月単月で約116万人増加し、2007年以降で最大となりました。移民による働き手の増加が止まれば、賃金インフレの抑制に逆風となると考えられます。少子化が進む米国にとって移民は本来、人口増を維持するために不可欠な存在となっています。

 米議会予算局は2月の経済見通しでは、1年前に比べて強まった移民の増加傾向が10年後の国内総生産を2%押し上げると試算しています。

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