米国労働市場は、完全雇用の状態なのか?
米国失業率(Civilian unemployment rate)の推移

(出典)労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics )米国雇用統計失業率
米国雇用統計は、労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics )が雇用情勢を示すために毎月発表する指標です。グラフに示されたグレイの網掛けの部分はNational Bureau of Economic Research(国家経済調査局)が公表した不況期を表しています。毎月米国雇用統計の内容が注目される理由は、アメリカで雇用情勢が個人消費に直結する点が挙げられます。アメリカの個人消費は同国のGDPの約7割を占めているため、雇用状況によって経済が左右されやすくなっています。
雇用の状況によっては米国市場のみならず、日本の輸出並びに為替市場にも影響を与えることがあるため、注目しなければなりません。
米雇用統計における失業率とは、アメリカ国内の失業者数を労働人口で割って算出し、割合と増減をまとめたものです。失業者とは、現在就業していなくて16歳以上の働く意志を持つ人です。労働力人口は失業者数と、就業者数を合わせて算出します。
米国の平均失業率は、長期的にはおおむね 5.7%前後 とされています。1948年以降の長期データの平均値で、景気循環をならした構造的な失業率の目安としてよく使われます。
米国の雇用統計の失業率では、4週間以上職探しをしていない人を労働力人口に含めません。このため、職探しをあきらめてしまう人が増加した場合、失業率の分母が小さくなって失業率が改善してしまう可能性もあります。
業績悪化の際に取られる従業員を一時的に解雇するレイオフが急増するのは、景気後退期に入ってしばらくしてからになります。失業率は経済動向が変化してから、一定の時間が経過した後に遅れて変動するという特徴があります。
米国の労働参加率とは

(出典)Labor Force Participation Rate, Percent, Monthly, Seasonally Adjusted
就業者および求職者の合計の労働力人口の、生産年齢人口に占める割合を労働参加率と呼んでいます。
1948年から2025年の平均値は 62.8%程度となっています。米国の労働参加率は新型コロナパンデミック以降に2023年8月62.8%まで回復しました。直近3か月では、2026年6月61.5
%、7月61.4%、8月61.6%と横ばいの状態が継続しています。
米国の労働市場を理解するうえで、労働参加率と 失業率 の関係はとても重要です。労働参加率が下がると、失業率は見かけ上低くなります。労働参加率が上がると、失業率は一時的に上がることがあります。労働参加率が低いと失業率は過小評価される傾向があり、失業率だけでは労働市場の強さを判断できません。
失業率からみる完全雇用の水準とは

(出典)Unemployment Rate, Percent, Monthly, Seasonally Adjusted
米国の失業率は2023年1月にオイルショック前の1969年以来、53年ぶりの低水準となる3.4%を記録しました。2024年5月には失業率は4%を上回る水準へと変化しました。
直近3カ月の2026年6月の失業率は4.2%、7月の失業率は4.1%、8月の失業率は4.1%となっています。失業率は依然として歴史的低水準で、景気後退の兆候は弱いと考えられます。
完全雇用とは、現行の賃金水準で働くことを望んで、就業の機会を得られない労働者がいない状態です。米国では、失業率が5%を切る水準はほぼ完全雇用といわれます。
FRB(米連邦準備制度理事会)では失業率の4%程度が労働市場の長期的な均衡水準とみています。失業率が4%未満であれば完全雇用の状態と考えられています。



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