持続可能なライフスタイルに調和的な資産形成とは? 人的資産と金融資産をセットで考える。
- 山木戸啓治
- 5月15日
- 読了時間: 4分
個人の資産は人的資産+金融資産

経験したことのない人口減社会で、お金・暮らし方・働き方にまつわる危機にどう対処していくかを明らかにしたいと考えます。
人口減社会の未来の姿から逆算して、変化を恐れない覚悟を持つべきと考えます。予想される社会で生きてゆくための持続可能なライフスタイルを、開発すべきではないでしょうか。人生100年時代が現実になった今、予想できる相応の資産形成の要請を背負って暮らしていると意識すべきです。
人的資産と金融資産をセットで考える
個人の人的資産と金融資産は、人間の一生を通して互いに補完し合うものです。この2つの資産の調和をはかって資産形成することで、持続可能なライフスタイルを実現するための道筋を見つけます。人口減社会の資産形成として、今やらなくてはいけないことは何か、将来にわたりやるべきことは何かについて考えます。
希望するライフスタイルを実現するためには、ライフイベントに合わせたそれ相当の支出が発生すると考えられます。それが必然的に発生する支出であれば、住宅購入のためにローンを組んだ場合と同じように、将来に向けて背負っている負債です。すでに背負っている負債と考えられるならば、当然その負債に見合うだけの資産が必要となります。持続可能なライフスタイルを実現するためのかなめは、背負っている負債に見合う資産をいかにして構築するのかということです。
自助努力が求められる中で背負っている負債をまかなうために頼れるのは、自らの人的資産と金融資産です。人的資産と金融資産をセットで考えて、資産形成することで持続可能なライフスタイルの実現を目指します。
人的資産の特性をみきわめる
金融資産の中でリスク資産と安全資産に対する資産配分は、自分自身の人的資産の特性を考慮に入れるべきです。
プロスポーツの選手のように毎年の収入が大きく変動する可能性が高い職業の場合では、人的資産は高リスクの資産といえます。金融資産の資産配分では、相対的に安全資産を多くした方が全体のバランスが良くなります。
失業リスクの小さいことが予想される将来にわたり収入が安定した職業の場合は、人的資産は低リスクの安全資産です。年金支給開始年齢の65歳まで、雇用が保障されている方の人的資産も、低リスクと考えられます。
収入が安定している職業では金融資産の資産配分は、株式等のリスク資産を中心にした方がバランスの取れた配分といえます。
自分に合った金融資産をみつける
資産形成を重視する観点からは、定年退職までを資産形成期と考えます。定年退職から年金受給開始までを移行期、年金が生活の柱になる年金生活期と区分します。
人的資産の価値が大きい時期は、積極的に金融資産による資産形成を図る時期です。株式等のリスク資産を中心に、中長期的な視点で適切なリスクを取って運用すべきです。
人的資産の特性が大きく国内経済に連動するリスクを持つと考えられるならば、海外のリスク資産への投資が重要な選択肢です。国内経済に連動するリスクを軽減する効果の高い資産形成スタイルは、海外株式への定額購入法による分散投資です。
人口減社会の進展で国内需要が減少して成長期待が小さくなる状況では、早期退職制度のもとで失業の懸念があります。技術変化の激しい場合は、知識やスキルが早期に陳腐化します。知識やスキルのアップデートが不可欠で、たゆまない自己投資が必須条件となります。
ベテランの生き残る道では経験を土台に鍛錬を重ねてニッチな分野で、自ら自然と感じる得意な型を持たざるを得なくなります。ジョブ型雇用ではより良い労働条件で働くために、自営業的な働き方で緊張感がある専門職化、技術職化が生じています。ニッチな分野で得意な型を持つことは不確実な時代を生きるための対策ですが、人的資産が片寄るリスクはあります。人的資産の特性が片寄るリスクを軽減するためには、グローバルな株式等のリスク資産を活用してヘッジする必要があります。持続可能なライフスタイルに応じたリスクを正しく把握し、資産形成の必要性を認識しなければなりません。
適切なリスクを取らなくてはならない理由のもう一つは、将来の負債はインフレリスクを伴うからです。インフレリスクを相殺させ将来の負債をまかなうには、リスクを持つ資産への投資でしかマッチングできません。時価が変動する資産と負債を1つのものとして管理して、バランスをとることは重要です。
現在のように物価上昇率がプラスで名目金利がゼロ近くである状態では、保有するお金の実質的な価値が減るリスクがあります。安全資産に限定した資産形成では、目標の達成は困難と推測できます。
移行期には人的資産の価値の減少にあわせて、計画的に株式等のリスク資産への配分比率を減らす時期です。年金生活期は金融資産が生活の柱となりますので、年齢を重ねると共に適切な水準まで安全資産の配分比率を高めます。
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